研究について
研究テーマ : モデル予測制御によるヒトの代謝システム制御
私は, 人間の代謝システムの制御をテーマに研究に取り組んでいます.
研究背景
糖尿病という病気は知っている方が多いでしょうか, 体内の血糖値をコントロールする機能に不具合が生じる病気です.
私たちの日々の食事には, 多くのグルコース(炭水化物)がふくまれています. グルコースは血糖として私たちの血液の中に溶け込み, 日常的な活動エネルギーの源として各臓器に届けられます. しかし, この血液中のグルコースの量は多すぎると有害です. そのため, 私たちの体内ではインスリンと呼ばれる血糖値を下げるためのホルモンが分泌され, その量をコントロールしているのです. 糖尿病になるとこの調節機能が上手く働かなくなり, 慢性的な高血糖状態となります. これにより神経系や腎臓, 網膜などでの合併症が引き起こされ, 満足に日常生活が送れなくなる恐れのある非常に怖い病気です.
特に, 1型糖尿病(Type 1 Diabetes Melitus)の場合, 体内でのインスリンの分泌が完全になくなるため, 外部からの血糖値制御が必要不可欠であります.
昔は患者が自らインスリン注射を行っていましたが, 現在では指定した量のインスリンを自動的に注射してくれるインスリンポンプという装置が開発されています.
しかし, 投与する量や時間は患者自らが手動で設定しなければならず, これは患者にとって負担である上, 投与量のミスなども発生する可能性があり, 完全自動制御のインスリンポンプ, すなわち人工膵臓の開発が期待されています.
私の研究では, この人工膵臓の制御則にモデル予測制御(Model Predictive Control)を適用することを扱っています.
私たちの日々の食事には, 多くのグルコース(炭水化物)がふくまれています. グルコースは血糖として私たちの血液の中に溶け込み, 日常的な活動エネルギーの源として各臓器に届けられます. しかし, この血液中のグルコースの量は多すぎると有害です. そのため, 私たちの体内ではインスリンと呼ばれる血糖値を下げるためのホルモンが分泌され, その量をコントロールしているのです. 糖尿病になるとこの調節機能が上手く働かなくなり, 慢性的な高血糖状態となります. これにより神経系や腎臓, 網膜などでの合併症が引き起こされ, 満足に日常生活が送れなくなる恐れのある非常に怖い病気です.
特に, 1型糖尿病(Type 1 Diabetes Melitus)の場合, 体内でのインスリンの分泌が完全になくなるため, 外部からの血糖値制御が必要不可欠であります.
昔は患者が自らインスリン注射を行っていましたが, 現在では指定した量のインスリンを自動的に注射してくれるインスリンポンプという装置が開発されています.
しかし, 投与する量や時間は患者自らが手動で設定しなければならず, これは患者にとって負担である上, 投与量のミスなども発生する可能性があり, 完全自動制御のインスリンポンプ, すなわち人工膵臓の開発が期待されています.
私の研究では, この人工膵臓の制御則にモデル予測制御(Model Predictive Control)を適用することを扱っています.
モデル予測制御とは?
モデル予測制御では, 有限時間のうちに与えられた最適化問題を解く必要があります. 与えられた最適化問題が非線形の場合, これは容易に解くことはできません. しかし, 世の中の多くのシステムは非線形であり, 血糖値制御における代謝システムも例外ではありません. 非線形システムをそのまま適用すると, 解かなければいけない最適化問題も非線形となります.
通常, 非線形システムをモデル予測制御によって制御する場合, 非線形システムを線形化して, その上でモデル予測制御を適用します. しかし, システムによっては線形化で生じた誤差によって制御性能が大きく劣化する場合もあり, 一筋縄ではいかないものです.
現代では, 計算機の性能向上により, 昔では考えられなかたような膨大な計算が可能であり, 非線形のまま最適化問題を解く, といった取り組みも増えています.
このように, 使用可能なリソース, 制御則の性質, 制御対象のシステムと睨めっこし, どのような制御をすることが最適であるかを検証することは, 制御分野の1つの目的であります.
通常, 非線形システムをモデル予測制御によって制御する場合, 非線形システムを線形化して, その上でモデル予測制御を適用します. しかし, システムによっては線形化で生じた誤差によって制御性能が大きく劣化する場合もあり, 一筋縄ではいかないものです.
現代では, 計算機の性能向上により, 昔では考えられなかたような膨大な計算が可能であり, 非線形のまま最適化問題を解く, といった取り組みも増えています.
このように, 使用可能なリソース, 制御則の性質, 制御対象のシステムと睨めっこし, どのような制御をすることが最適であるかを検証することは, 制御分野の1つの目的であります.