研究テーマ

制御工学の中では,主に次の2点を研究対象としている.

  1. システムモデル化
  2. 制御設計

1. システムモデル化

制御工学では,システムのシミュレーション、予測、または制御設計にシステムモデル化が使用されている. これらのシステムは,非線形,時変,確率的なものであることがある. このようなテーマは複雑であるため,私は「システムモデル化」を独立した研究単位としてまとめることにした.

私は特に,3次元の複雑な機械システムのモデル化に情熱を注いでいる. ここ数十年の計算能力の大幅な向上により,システムダイナミクスをリアルタイムでシミュレーションするためのアルゴリズムを最適化することができるようになった. 特に、グラフィックス・プロセッシング・ユニット上の汎用コンピューティング(GPGPU)を利用することで,大きなデータスループットを持つ高度な並列化計算が重視されるようになっている。

用途としては,学術環境における大規模で複雑な機械システムのシミュレーションから,ゲームや物理エンジンにおける複雑な現象(物体の衝突,身体の変形,流体,気体など)の現実的なシミュレーションまで,多岐にわたる. また,医療関連分野では,リハビリテーションのための人体運動(歩行、ペダリングなど)のシミュレーションや予測にも有用である.

2. 制御設計

制御器をシステムに追加することで,その出力を強制的に軌道に乗せたり,その状態を望ましい平衡状態に安定させたりすることができる. 例えば,自動車にクルーズコントローラーを追加すると,所望の速度を一定に保つことができる. 速度は自動的に調整され,運転者からの入力は必要ない. つまり,車の速度が「制御」されるようになったのである.

2.1. 制御パラダイム

私の経験では,制御アルゴリズムには,モデルに基づく制御とモデル・フリー制御の2つのパラダイムが存在する. 一言で言えば,モデルに基づく制御アルゴリズムとは,システムのモデルを直接利用し,プラントセンサーを使って制御を計算するアルゴリズムである. これに対して,モデル・フリー制御アルゴリズムとは,システムモデルを直接利用せず,システムダイナミクスに適応することで(センサーと適当なゲインのみを用いて)制御を計算するアルゴリズムである.

2.2. 制御工学と機械学習との組み合わせは可能?

IOTの奇跡により,データはより効率的に,より大量に蓄積されるようになった. したがって,システムのダイナミクスに関する先験的な知識がなくても,これらのデータを使ってシステムモデルを学習することが想像できる. 複雑なシステムの学習は,機械学習によって可能になるのである.

特に,モデルに基づく・モデルフリーの両方のアルゴリズムを融合させることに興味がある. 一見,拮抗するように見える両者の世界ですが,より強力な制御装置を作るための相乗的な特徴を数多く発見することができると考えている. この融合は,制御工学の伝統的なツールと機械学習の学習ツールの組み合わせによって可能になると考えている.